エッセイ 出会い色いろ色縁ぴつ「縁は異なもの」

落語と着物は切っても切れないものでございます。
わたしは中崎町にあります六花(ricca)さんという呉服屋さんにお世話になりますねん。

「呉服屋さん」と言うたらえらい敷居が高いように思ってしまいまっしゃろ。
けどこちらはそうですな、「着物屋さん」という方がええかもしれない。
それくらい肩の力を抜いたまま気軽に入れる呉服店なんですわ。

六花さんに出会たんは、いつ、どんなきっかけやったか、そんなもんもすっかり忘れてしまいましたけど、私がこちらの着物屋さんが好きなワケは、店長の順子さんがおもろいということ、それと人に壁を作らないそのほんわりとしたお人柄に惹きつけられるからでしょうな。
何にも分かってない私にも丁寧に、着物がどのようなものか教えてくれはりますねん。

ただ足袋を買いに行っただけやのに、店長のじゅんこさんとっしゃべってるうちに、なんでか大きな紙袋をぶら下げて帰っているという状態になってることがある。
これが参りますわな。

今日は余計なもんは買わへんでと心を決めて出かけまっしゃろ。
そしたらじゅんこさんは
「いやあ福点さんこの生地触ってみてくださいよ、ええ触り心地でしょ。これ絹でね、色は・・・。これもう福点さんを待ってたみたいに先日わたし見つけたんよ。どうです。夏の着物作りません?うふふふふ。」

気がついたら
「そういえば夏の着物一着しかなかったで、汗かくし長いこと使てるし、そろそろ買わなあかんかいなあ。」

店を出ると後ろからじゅんこさん、
「ほんなら仕上がったらまた連絡しますね。」
と優しく声を掛けている。

こんなこと書いたらえげつないなあと思う人がいそうですけどな、
いえいえ全然そんなことおまへんで。

値段も私が買えるくらいリーズナブルなものも用意してくれはります。
無理押しとかはしはりまへんな。
丁寧でそれにおもろい。
人を嫌な気分にさせはれへんし。
お店の皆さんがまたええ会話がお上手ですわ。
スタッフのみなさんもお一人お一人がやはり人に壁を作らない方ばかりで、呉服のこと何にも知らんでも、鼻で笑うとか、ふっかけてくるとか、そんなんおまへん。
楽しいでっせ。

みなさんも着物をぜひ生活の中に取り入れて下さることをお勧めしますな。
一度お店へ言ってじゅんこ店長とお店のスタッフの方にお会いされることオススメですわ。
私もよう落語会に来てもろたり飲み会を一緒にしたり、楽しくお付き合いして頂いております。
これはもしかしたら、袖すり会うも多少の縁、いやいや多少の円かいな。